壁画とワインとイタリアと

プライベート

「マミさん、今度新しいお店を出すんだけど、そこの壁画を描いてみない?」

突然そう言われて、本当にビックリしました!!
だって壁画なんて全く描いたことがないんですから。
マンガはその時もう25年描いていたけど。。。

「こんな感じの絵が欲しいんだよね」

そう言ってオーナーから手渡された画集。ある有名なスケッチ画家の物でしたが、またまたビックリ!
なぜなら当時、絵の表現の幅を広げようと、油絵やスケッチを習いに行っていた私。
スケッチの先生が偶然その画家の弟子だったんです!!

これは…やれと神様が言ってるのに違いない!
(この神様はしょっ中私の人生で現れて、いろんなことをやれと言うのです(笑)例えば山梨への移住もそうだったんだけど。)

「やらせてください!」

とまあ、わりと軽く引き受けたんですが。
それが…新しく渋谷のランドマークとなるHikarie(ヒカリエ)というビルに入るレストランで、幅が約4.5メートル、天井まで届くような巨大なものだと知ったのは、その何日も後でした。

とてつもない巨大プロジェクトだったヒカリエ。


店はイタリアのポジターノという町にある人気レストラン、「CAPRICCI(カプリッチ)」の東京店。
レモンのパスタや魚介のフリットが人気で、現地ではいつも満席。
ポジターノは日本でも映画で有名になったアマルフィ海岸の近くで、同じように海岸にせり出すようにカラフルな建物が並んでいて、中心にあるイスラム風の尖塔を持つ教会が印象的です。

その景色を眺めるテラス席のあるレストランに、座っているように感じられる構図にしました。

しかし問題は着彩です。
スケッチは透明水彩絵の具を、何度も何度も塗り重ねていくのですが、壁に描く場合は水彩画のようににじませることができません。仕方なく近景は油絵風に塗って、遠くは淡い色でベタ塗りにしました。
またポジターノの写真を何枚も見て、印象的だったのがその明るさ、鮮やかさだったので、濁りのないきれいな色を使いました。お客さまが明るく、くつろげるように♡

左側には料理が並ぶレストランのテーブルを描きました。


左側はレモンの樹と、遠景に崖に建つ家々を。


このレモンの樹は「レモンの大きさが違う」と言われて描き直しをすることになりました。そんなこんなで途中からは完成が間に合うかどうかでハラハラでした。
オープン前の内覧会の日までにできていないとアウトです!!

のべ130時間。
最後は36時間徹夜して、内覧会当日の朝も壁画を描いていました。死にそうでした。。。
だから完成した時はものすごく達成感があってうれしかったです!!

そして完成のサプライズご褒美がありました!

「マミさんがこの店に来た時は、スパークリングワインを1杯サービスしますよ。いつでも飲みに来てね」
なんて粋な計らいなんでしょう。もちろん絵のギャラは別にいただきましたよ。

そもそもこのオーナー・ノリオさんと私は、ワインがきっかけで知り合いました。
彼が経営する別のお店でよく山梨のワインの会をやっていたんです。
ノリオさんの主催したフィレンツェ旅行にも参加させていただいて、普通はできない体験もさせていただきました。
ワインが繋ぐ人の縁は素晴らしいですね♡

その7年後のこの秋。。。

2018年9月17日。このお店は閉店に。。。


残念ながらカプリッチは閉店となります。。。
もちろん壁画も消えて無くなります。。。

お店がしょっ中入れ替わる都心の複合ビルですから、いつかはこんな日が来ると思っていましたが、寂しいです。
つい先日オープン当時の思い出を懐かしみに、ノリオさんの声かけで当時のスタッフや共通の友人、私の苦労を知る大切な人が集まりました。
壁画を眺めながら、たくさん乾杯して、思い出話をして。とても楽しい時間を過ごしました。

絵はなくなっても、人の縁は続きます。ずっと。。。

閉店の17日まであと2日間ですが、渋谷に行くことがあったらぜひ絵を見てくださいね♡

イセダマミコ

30年以上住んだ東京から、ワインが好きすぎて山梨に移住して今年で6年目!漫画家です。甲府の飲食店を紹介したマンガ「甲府でもノムリエール2」がネット配信中です...

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